11月, 2015年

【EDガラスの歴史】

2015-11-30

ドイツの物理学者、光学機器製作者として知られるフランホーファーは、ガラス磨き職人の息子として生まれ、ガラス製造工場で働いていたこともあります。
そのフウランホーファーがEDガラスを試作したこともありますが、このガラスは腐食に弱いことが分かり、実用性に乏しいものでした。
蛍石レンズに先を越された感のあるEDガラスだったのですが、1960年代になるとEDガラスの実用品が開発され、その後は日本の光学メーカーなども盛んに開発に取り組むようになり、気候の影響をできるだけ受けず、価格も安いものが製造されるようになっています。

【蛍石レンズの歴史】

2015-11-27

蛍石レンズは、1873年にビュースターが顕微鏡用の天然結晶を使用する方法を開発していますが、大きな結晶を得るためには、蛍石を高温で融解して再結晶させる技術が必要でした。
蛍石レンズのデメリットとしてコーティングが難しいということがあったのですが、コーティング技術の発達(ステッパーが開発されたことによる)などによって、欠点もカバーされつつあります。
顕微鏡の世界だけではなく、望遠鏡や一眼レフカメラなどの世界でも、蛍石レンズが広く使われるようになっています。

【異常部分分散性とは?】

2015-11-26

色収差を抑えるために「異常部分分散性」を持つ材料を使って作られたレンズが役立つことがあります。
通常のガラスでは、部分分散(ある波長範囲内での屈折率の差異)は、波長にあまり依存しません。
しかし、波長によって部分分散が特異に変化するものを異常部分分散・特殊分散と呼んでいます。
異常部分分散性を持つガラス(Extra-low dispersion glass、EDガラス)は、色収差の少ないガラスとして数多くのメーカーが開発を行い、実用化が行われています。

【EDガラスとは?】

2015-11-25

EDガラスは、異常部分分散性を持ったガラスという意味であり、レンズメーカーによってはUD, LD, SD, もしくは特殊低分散ガラスなどの呼び方がされることがあります。
蛍石レンズも異常部分分散性という特徴は持ち合わせているのですが、厳密には「ガラス」とは別のものです(フッ化カルシウムの人造単結晶を削ったもの)。
EDガラスは、既存のガラスに無機フッ素化合物や無機リン酸化物・ホウ素化合物などを加え、異常部分分散性という性質を持たせるべく、改良がおこなわれたものです。

【蛍石レンズと色収差】

2015-11-24

蛍石レンズ(けいせきレンズ、ほたるいしレンズ)、あるいはフローライトレンズと呼ばれるレンズは、蛍石を用いて作られるレンズで、色収差の補正に役立ちます。
軽量であり、透過率や屈折率の波長分散が極めて小さい上に、レンズを透過できる波長領域が広いという特徴があり、この特徴を活かして、光学ガラスと組み合わせることで、色収差を抑えるということができるのです。
ただし、蛍石レンズは費用が高くつくことや、傷つきやすいこと、急な温度変化に弱く、潮解性を持っているため曇りが生じやすいといったデメリットもあります。

【色収差の補正】

2015-11-20

色収差の補正(「色消し」と呼ばれている)は、屈折率や分散が異なる材質のレンズを組み合わせることで行われます。
凸レンズ、凹レンズを1枚ずつ組み合わせることで、白色光に含まれる複数の波長の光のうち、2か所の波長において結像の位置を一致させることができます。
「アクロマート」と呼ばれるのは、2か所で色収差が補正されたレンズであり、「アポクロマート」とは3つの波長で色収差が補正されること、さらには球面収差・コマ収差などが2つの波長で補正されていること、などの条件を満たすものです。

【収差補正】

2015-11-19

ザイデルの5収差や色収差は、どんなレンズを使ってもある程度生じてしまうものですが、いっぽうで複数のレンズを組み合わせるという方法で、収差を補正することもできます。
たとえば球面収差を補正するには、凸面レンズと、異なる材質の凹面レンズを組み合わせるといった方法で収差を補正するほか、非球面レンズという球面収差を補正できるレンズも販売されています。
ただし、電子顕微鏡の世界で使われる磁界レンズなど、凸面レンズしかできない場合には、他の方法による収差補正が行われます。

【倍率色収差】

2015-11-18

異なる波長の成分が含まれた光がレンズを透過する際、斜めに光が入るということもあります。
その場合、波長ごとに異なる屈折率の違いは、倍率の違いとなり、色ごとに少しずつ異なる倍率の像が結ばれることになります。
レンズを通して出来上がった像は、像の周辺部分に虹のような色ズレが現れるようになり、この収差を倍率色収差(又は横色収差)と呼びます。
この収差については、軸上色収差とは異なり、絞りを調整するだけで抑えることは難しいと考えられます。

【軸上色収差】

2015-11-17

色収差には大きくわけて2つの種類があり、その1つが軸上色収差です。
レンズを通過する光は、色ごとにわずかずつ屈折率が違うため、像を結ぶ位置が色ごとに前後にずれる現象が起こります。
これを軸上色収差、あるいは縦色収差と呼びます。
軸上色収差は「特定の色にピントを合わせると、他の色の色ボケが生じる」という現象が起こってしまいます。
軸上色収差は、レンズの周辺部を通る光が主な原因となりますので、絞り込むんで周辺を通る光をカットする方法で、抑えることもできます。

【色収差】

2015-11-16

ザイデルの5収差は、単一の波長しかもたない光がレンズを透過した場合でも、レンズが球面であることを理由として起こってしまう収差です。
私達が顕微鏡を覗く場合には、様々な波長を含む光を使って観察を行います。
そして、レンズを構成する材料の屈折率は、光の波長ごとに少しずつ異なります。
このことが原因で、レンズを通した光が像を結ぶときには、色ごとにわずかなズレが生じた像が出来上がってしまいます。
このズレのことを「色収差」と言います。

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